上咽頭擦過療法(Bスポット、EAT療法)

2023.06.08

 新型コロナウイルス感染症が第5類に分類されたことから、検査を希望される方はかなり減少していますが、一部地域では感染者が再び増加傾向にあるとされます。

 新型コロナウイルス感染症に感染すると、その一部の方が長引く後遺症に悩んでいることは皆さんもご存知かと思います。2023年5月に福岡で開催された「日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会」において、「新型コロナウイルス感染症に対する上咽頭擦過療法」というテーマが取り上げられていました。松本から福岡までは飛行機で行けるので、私も聴講してきましたので、今回はその報告を兼ねて以下ご紹介します。

 皆さん、上咽頭擦過療法をご存知でしょうか?別名Bスポット療法EAT療法とも呼ばれています。この治療は1964年に堀口伸作先生(当時、東京医科歯科大学)が提唱した治療法です。実は、当院でも開院当初から、新型コロナウイルス感染症に限らず、一部の悩ましい症状の方に細々とこの治療を継続してきました。

 上咽頭とは、鼻腔のつきあたりにあたる場所で、多くのみなさんも新型コロナウイルス抗原検査やインフルエンザ迅速検査で鼻から綿棒を突っ込まれて鼻の奥をグリグリされたことがあるかと思いますが、まさにその場所が上咽頭です。、

 新型コロナウイルスの後遺症として、倦怠感、胸痛・動悸、咳、息切れ、記憶障害、頭痛、嗅覚障害など様々な症状が長期にわたって持続することがあります。そのメカニズムの詳細はまだ解明されていませんが、自己免疫学的な機序や脳の炎症などが想定されています。ワクチン接種によって後遺症のリスクが軽減すること、感染時に新型コロナウイルスの治療薬を服用することでもリスクが軽減することなどが報告されています。

 確立された治療法はありませんが、漢方薬や亜鉛やコエンザイムQ10 の補充が有効な症例がいます。さらに、今、上咽頭擦過療法が非常に注目されてます。

 なぜ、上咽頭擦過療法が有効なのか? 実はそのメカニズムは不明な部分が多いのですが、効果を実感する人は少なくないようです。

 新型コロナウイルス後遺症だけでなく、長引くのどの違和感、倦怠感、後鼻漏(鼻水がのどにまわる)、ふらつき、頭痛などにも有効な場合があります。ただし、治療には痛みを伴います。ご興味のある方は、ご相談ください。