アレルギー性鼻炎

花粉症

鼻は、気道の入口にあり、ホコリやウイルス、細菌などが簡単に体内に侵入するのを防いでいます。アレルギー物質が鼻粘膜に入ろうとしても、鼻水、くしゃみなどによって侵入を防ごうとするため、アレルギー症状がおこります。

アレルギー性鼻炎はダニやカビ、ペットのフケ、花粉などのアレルゲン(アレルギーの原因物質)によって生じる鼻粘膜のアレルギー反応で、はなみず、くしゃみ、鼻づまり、鼻のかゆみなどが生じます。目の充血やかゆみ、のどのいがいが、咳などの症状も伴うことがあります。アレルギー性鼻炎の中で一年を通して症状が継続する場合には通年性アレルギー性鼻炎、ある季節に限定して症状がある場合には季節性アレルギー性鼻炎とよびます。花粉症は花粉アレルゲンが原因のアレルギー性鼻炎であり、日本ではスギ、ヒノキが主な原因となっていることはあまりにも有名です。花粉症の有病率は年々増加しており、現在では日本国民の2人に1人が花粉症になっているといわれています。

アレルギー性鼻炎の治療

アレルゲンの回避

アレルギーの原因となるアレルゲンを回避することが重要です

投薬治療

薬物療法 内服薬、点鼻薬、漢方薬、など

投薬による症状の軽減を行います。 服薬として抗ヒスタミン薬などを、外用薬として点鼻薬などを処方いたします。特に花粉症では、薬の選択と開始時期が重要になります。症状やライフスタイルに合わせた薬を提案しております。花粉飛散開始前(1月末)から服薬を開始すると、シーズン中の症状が軽くなることが知られております(初期療法)。

アレルゲン免疫療法

アレルギーの原因物質を体内に摂取することで、アレルギー免疫反応を緩和し、症状を抑制、あるいは治癒に導く治療法です。主に皮下注射で投与する方法(皮下免疫療法)と、舌の下に錠剤をおいて治療する方法(舌下免疫療法)があります。以前は、皮下免疫療法がおこなわれてきましたが、一部の人にアナフィラキシー反応などの強いアレルギー症状がおこることがあり、最近では舌下免疫療法が中心に行われています。
現在、日本ではダニとスギのアレルゲンエキスを用いた治療が行われています。治療に際しては、血液検査や皮膚テストでアレルギー性鼻炎の原因アレルゲンを特定する必要があります。

舌下免疫療法による治療

以前は液体の製剤がありましたが、現在では錠剤のみ使用できます。舌の下に錠剤をおいて、1分したら飲み込みます。これを毎日継続します。継続することで、ダニやスギによる鼻炎症状はもちろん目や体のだるさなどの症状が抑制されていきます。ダニやスギが原因である喘息に対する一定の効果もあることが報告されています。通常3-5年程度継続すると、治療中止後も長期にわたって治療効果が継続し、根治に至る人もいます。また、お子さんでは将来的な喘息の発症予防効果もあることが報告されています。5歳程度から成人まで幅広いアレルギー性鼻炎の患者さんが適応になります。ダニとスギの両方のエキスを用いた治療も可能です。投与後2時間程度は激しい運動をしないなどの注意点もありますので、ご希望の方はご相談ください。

  • 対象年齢:5歳以上(ただし、舌の裏に1分薬を保持できることが必要)
  • 治療効果:7~8割程度で、薬が不要になったり、薬の使用量を減らせることができます。
  • 治療期間:3~5年が推奨されておりますが、半年から1年くらいで効果が出る方もいます。

抗体療法

スギ花粉症に対する抗IgE抗体(ゾレア®)を用いた治療

スギ花粉症は、鼻や目以外にもさまざまな症状を伴うことがあります。睡眠障害や倦怠感、昼間の眠気なども引き起こし、春先に勉強が身に入らない、仕事の能率が上がらない人も多くみられます。通常の薬物治療で十分に効果が得られない人は、是非抗IgE抗体を用いた治療に挑戦してみてください。IgEはマスト細胞という細胞の受容体に結合することで、ヒスタミンをはじめとするさまざまな炎症物質がマスト細胞から分泌されます。このIgE結合し、IgEの働きをブロックするお薬が抗IgE抗体(ゾレア®)です。血液検査でIgEの値を調べ、その値と体重によって投与量が決まります。月1回から2回の投与が必要でスギおよびヒノキ花粉飛散期である3-4か月が治療期間です。高額なお薬ですので、すべての人に適応ではありませんが、受験生や仕事の効率が上がらない方は是非ご相談ください。花粉症を根治させる治療ではありませんのでご注意ください。このお薬は、重症気管支喘息や難治性慢性蕁麻疹の方にも保険適用となっています。こちらのご相談も承っております。

適応基準

  • 12歳以上が対象です。
  • 重症のスギ花粉症であることを確認します。採血検査でのスギ花粉に対するIgE値がクラス3以上および総IgE値が30~1500IU/mlであることが必須条件です。(鼻ポリープや副鼻腔炎の合併などにより症状が出ていないかなどを鼻内電子スコープ検査やCT検査により確認する場合もあります)
  • 1週間以上、従来の治療(抗ヒスタミン薬や鼻噴霧ステロイド薬など)を行ったうえでの開始となります。

手術療法

アレルギー性鼻炎にたいする手術療法

アレルギー性鼻炎の治療では、鼻粘膜レーザー焼灼術が有名です。しかし、レーザーは鼻粘膜の表面を焼灼するために、異物やウイルスを排除する働きのある線毛細胞も焼灼してしまいます。レーザー焼灼後はある程度再生すると考えられますが、完全に再生することはありません。また、複数回焼灼することでのちに鼻粘膜が乾燥してしまうといった合併症の症例も経験しています。よって、当院では院長のポリシーとしてレーザー焼灼は施行していません。その代わり、鼻粘膜の中に電極を刺入して焼灼する下鼻甲介粘膜凝固術を行っています。ただし、この治療法にも欠点があり、あまり強く焼灼すると、鼻粘膜壊死が起こることがあるため、慎重に施行する必要があります。
アレルギー性鼻炎の手術療法には、外来で簡単にできるものの他に、鼻の真ん中の壁の曲がりを矯正する鼻中隔矯正術や、腫れた下鼻甲介を切除する下鼻甲介手術もあります。これらは鼻閉に効果があります。また、鼻漏やくしゃみを軽減する後鼻神経切断術もあります。ただし、これらの手術は全身麻酔が必要になることが多いですので、ご相談ください。人生が変わるほどよくなったと感想を述べられる方が多くいます。

後鼻神経切断術後の鼻水スコアの低下