第61回鼻科学会総会に参加してきました

2022.10.23

 第61回日本鼻科学会総会が10月13日(木曜日)~15日(土曜日)まで、金沢市で開催されました。当院では、10月12日午後~14日(金曜日)を休診とさせていただきました。皆さまには大変ご迷惑をおかけいたしました。

 今回は、現地参加いたしました。と、いうのも、12日の夜の「鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会」に出席するためです。前回のガイドラインは2020年に発行されました。概ね3-4年に一度リニューアルされており、次回は2023年4月ごろの発刊を目指しています。内容の詳細はまだ極秘ですので、このコラムでは触れることができません。あしからず。

 さて、学会ですが、ハイブリッド形式で開催されました。つまり、現地参加も、ウェブ参加も可能な形式です。しかし、現地で直接演者の発表を聴講する方が圧倒的に印象に残ります。

 休診にしてまで学会に参加してきたのですから、何を勉強してきたのか?これを皆さんに還元しないといけませんね。簡単にご紹介します。

 はじめに、「嗅覚障害 研究の最先端」というシンポジウムに参加しました。研究の最先端の話なので、なかなか日常診療には活かしにくい内容ですが、そんな中で、皆様にお役にたちそうな情報としては、以前、「新型コロナウイルスによる嗅覚(におい)障害」のコラムで取り上げた「嗅覚リハビリテーション」の話がありました。復習すると、これはドイツから最初に報告された方法です。元の方法は、バラ、クローブ、レモン、ユーカリの精油のにおいを1日2回、各10秒ずつ嗅ぐという方法です。においを嗅ぐことによって、脳の前頭葉の血流が30%ほど増加するそうです。これと他の治療法(漢方薬やビタミンBなど)を併用することで、嗅覚障害の改善率が上昇することが報告されていました。特に35歳以下の人では、改善率が高いようです。そのほか、実際の診療では使えませんが、抗てんかん薬のバルプロ酸が嗅細胞の再生を促すそうです。最先端の嗅覚検査の話もありましたが、身近なところでは、最近、ニュースにもなりましたが、ソニーから新しい嗅覚検査の機器(下写真)が薬事承認を取ったということが報告されていました(来春発売予定)。これは機器展示もされており、中型車一台分くらいの価格で売り出すとのことでした(少し高いような。。。)。 他にも、「アレルギー性鼻炎治療の最先端」や、「鼻腔生理学フォーラム」、「頭蓋底手術のセミナー」、などにも参加しましたが、長くなりますので詳細は割愛いたします。以上簡単ですが、学会報告でした。


ソニー株式会社 | ニュースリリース | 独自におい制御技術Tensor Valve™テクノロジーを開発学術研究・企業用途の「におい提示装置」発売 (sony.co.jp)