難聴と認知症

2022.06.28

 年齢を重ねるにつれ、聞こえは徐々に悪くなっていきます。しかし、聴力のレベルには個人差があり、それまで過ごしてきた環境、および遺伝的要因が大きく影響すると考えられています。最近注目されているのは、難聴と認知症の関係です。

 国際的な報告によると、難聴への対策を施すことが、認知症への進行を予防る要因の1つとして報告されています。しかも、難聴が重症化する前に対策を講じることが大切だと考えられています。

 それでは、“難聴への対策”とは具体的にどうすればよいのでしょうか?まずは、騒音を避けることが重要です。最近では、スマートフォンで音楽を聴く人が多いと思いますが、大音量で聞くと聴力低下が進行する危険性が高くなります。音量をしぼり、1日1時間未満にする、あるいはノイズキャンセリング機能の付いたイヤホンを選ぶなどの対策が必要です。とはいえ、若者の多くは、将来、自分が認知症になる姿は想像できないでしょう。さらに、仕事で、騒音に暴露されている人も注意が必要です。可能なら騒音環境下ではできるだけ耳栓を装用しましょう。

 もし、難聴になってしまった場合には、どうすればよいのでしょう。発症後1か月以内であれば薬物治療で改善する可能性があります。難聴に気づいたらできるだけ早く耳鼻咽喉科を受診しましょう。以前から難聴を自覚し、日常生活に不自由を感じている方は、補聴器が有用かもしれません。補聴器を使用することで、認知機能にも良い影響を与える可能性があります。

 当院では、土曜日の午後および、不定期ですが木曜日の午後に補聴器外来を開設しております。補聴器をご希望の方は、一般外来を受診していただき、聴力を測定した上で補聴器の適応を判断し、補聴器外来を予約します。補聴器に抵抗のある方も多いですが、是非ご相談ください。