花粉症の治療

2022.03.05

 スギ花粉飛散が始まっています。

そこで、今回は、アレルギー性鼻炎・花粉症治療薬の特徴をまとめてみました。
(ほぼ同じ内容のパンフレットを花粉症で受診された方にもお渡ししております)

薬物療法

  • 鼻噴霧用ステロイド薬:鼻水、くしゃみ、鼻づまりのすべてに有効。ただし、即効性に乏しいため、毎日使い続けることが大事です。効果は、飲み薬と比べても高いと言われています。
  • 抗ヒスタミン薬:主には、鼻水、くしゃみに有効。最近の抗ヒスタミン薬は、中枢移行が少ないため眠気も少なく、1日1回の内服で良いものが多く便利です。即効性も期待できます。連用するとより効果が高まります。鼻づまりがひどい人は、プソイドエフェドリンが配合された抗ヒスタミン薬が有効ですが、口が渇いたり、心臓がどきどきしたり、血圧が上がることがあるので、注意が必要です。プソイドエフェドリン配合薬は、花粉症によって眠気が強い人にもおすすめです。
  • 抗ロイコトリエン薬抗プロスタグランジン・トロンボキサン薬:主に鼻閉に効果があります。いずれも連用により有効性が上昇します。
    治療薬1,2,3は症状によって、それぞれ組み合わせて用いられることがあります。
  • 鼻閉用の血管収縮点鼻薬:鼻閉時のレスキュー薬として使用します。連用すると効果がなくなってきて、最後には反対に鼻がつまる副作用がありますのでご注意ください。
  • 内服経口ステロイド:重症・最重症の場合に1週間程度使用することが可能です。副作用に注意して使用することが重要ですので、医師の判断で処方します。
  • ステロイド注射薬:副作用が強く出る可能性があり、世界的に推奨されていません。

特殊な治療

  • 抗IgE抗体: 1月7日の「お知らせ」でもご紹介いたしました。花粉症、じんましん、喘息の重症例のみに使用できる注射のお薬です。鼻噴霧薬+内服薬を使用しても症状がつらい重症の人が対象です。採血を行い、スギ花粉症の確定診断をして使用します。体重と血液中の非特異的IgEの値で投与量が決定します。非常に効果が高いですが、比較的高額ですので、花粉症がひどくて困っている人はご相談ください。適応年齢は12歳以上からですので、学生さんにもおすすめです。
  • 舌下免疫療法:スギ花粉症とダニ通年性アレルギー性鼻炎に保険適用があります。アレルゲン(スギもしくはダニ)エキスが入った錠剤を舌の裏に1-2分留置し、その後飲み込みます。いわゆる体質改善とも呼べる治療ですが、即効性には乏しく、通常3-5年継続する必要があります(個人差がありますが、薬がいらなくなる人もいます)。中止後もその効果は長期に持続すると言われています。

点眼薬

 主には、抗ヒスタミン薬、あるいはケミカルメディエーター遊離抑制薬の点眼薬が用いられます。もし、これでも目の症状抑制が不十分な場合には、ステロイド点眼薬を用いますが、眼圧が上がる可能性があるので、医師とご相談ください。