難治性のメニエール病に対する新しい治療

2021.11.30

今回は、難治性の「メニエール病」に対する「中耳加圧療法」について簡単に解説します。当院のホームページにも載せていますが、改めてこのコラム欄で触れてみたいと思います。

「メニエール病」、聞いたことがありますか?「名前は聞いたことがあるけど、どんな病気かわからない」、という方が多いかと思います。メニエール病は、10分程度~数時間程度のめまいを反復する病気で、同時に、耳が聞こえにくい、耳鳴がする、耳がふさがった感じがする、などの耳の症状を伴います。内耳の内リンパ液が過剰に貯留することで、内リンパ水腫という状態になることが原因と考えらえています。発作を繰り返し起こしていると、難聴が進行し、元にもどらなくなることもあります。多くの症例は、適切な治療によってめまいが改善しますが、一部、治療の効き目が不十分で、繰り返しめまい発作を起こす人がいます。そのような重症のメニエール病の治療として、中耳加圧療法が2018年9月より保険適用となりました(3割負担の場合、ひと月あたり6千円です)。

中耳加圧療法は、中耳加圧装置(下の写真)を用いて行います。耳栓を耳の穴にあてるだけの簡単な治療で、1回3分を1日2回使用するだけです。機器は貸し出しになります。使用している間は、自分のめまいの状態を専用の日誌に記載してください。治療効果や安全性を確認するために、4週間に1度程度の受診をお願いします。1年程度継続し、治療効果によって、さらに治療を継続するかを判断します。臨床試験での有効性は90%程度です。ご興味のある方は、ご相談ください。