​食物アレルギーについてーその5―比較的珍しいアレルギー3

2021.11.17

今回も前回に引き続き、比較的珍しい食物アレルギーをご紹介します。

  • 昆虫
  • お肉
  • マカロン

 

昆虫、それは食糧難を迎える近未来に重要なタンパク源として、今、注目されています。みなさんはイナゴやハチの子を食べたことがありますか?見た目は・・・ですが、味にはそれほど抵抗が無いのでは? 多くの昆虫には、エビ・カニなどのアレルギーの原因物質(アレルゲン)の1つであるトロポミオシンが存在します。従って、エビやカニなどにアレルギーをお持ちの方は、昆虫食にも注意が必要です。寒い寒いアイスランドにはダニは生息しませんが、アイスランドに住む人々を調べると、数%がダニに感作されていることがわかっています。これもトロポミオシンが原因と考えられています。ダニはいなくても、エビはいますから。。。

 牛肉、豚肉、羊肉の食物アレルギーがあるのはご存知でしょうか? 何と、マダニに噛まれたことが原因となることがわかっています。犬を外で飼育している人や、ハイキングなどで草むらに入っている人は注意が必要です。マダニ唾液中にはα-Galと呼ばれる糖鎖が存在し、このα-Galに感作されるとお肉アレルギーになる可能性があります。タンパク質だけでなく、糖鎖にも感作されるなんて。。。知ったときには非常にびっくりしました。このアレルギーがあると、カレイの魚卵や一部の抗がん剤にも反応する可能性があります。一方で、鶏肉や他の魚は問題なく食べられます。

 この他に、ネコを飼っていると豚肉アレルギーになったり(pork-cat syndromeと呼ばれています。この場合、豚肉にしっかり熱を加えると食べられることが多いです。ハムでは症状が出やすいので注意が必要です。)、オウムやセキセイインコを飼っていると卵黄や鶏肉アレルギーになることがあります(bird-egg syndromeと呼ばれています。この場合もしっかり熱を加えると食べられることが多いです)。ペットも善し悪しということになりますね。

マカロンの原材料にはアーモンドが含まれているため、アーモンドにアレルギーのある方は注意が必要ですが、これとは別に、赤やピンクのマカロンを食べると、症状が起きる人がいます。その原因は、コチニール色素という赤色の着色料です。外国産の口紅などの化粧品にコチニール色素(赤色の色素)が使われていることがあり、これによって経皮感作(食物アレルギーについてーその2―を参照してください)されて、ピンク色のマカロンを食べてアレルギーが発症するというわけです。ちなみにコチニール色素はカイガラムシの雌を乾燥させたものから抽出されるとのことです。このアレルギーの方は、中華料理や中華菓子にも一部コチニールが使われている食材が入っている可能性があるので、ご注意ください。