比較的最近知られるようになっためまい疾患4

2021.10.21

今回は「良性発作性めまい症」を取り上げます。

このめまい自体は新しいものではなく、1964年にすでに海外で報告されています。成人に多い「良性発作性頭位めまい症」と病名が似ているので、非常にまぎらわしいのですが、「良性発作性めまい症」は小児に起こるめまいです。片頭痛の前駆症状(国際頭痛分類にも記述されています)と考えらえており、多くは成長とともに片頭痛を発症することが多いようです。前触れなく生じて、数分~数時間で自然に治るめまいですが、重度(日常生活に支障をきたす)のめまいが、たびたび起こります。意識消失はありません。めまいがないときには、聞こえや体のバランスの機能は正常で、脳波にも異常はみられません。聞こえの検査では異常はないのですが、耳鳴りや耳がこもった症状を訴えるお子さんもいます。前回解説した、前庭性片頭痛とも関連が深いめまいで、実際にめまい発作時に片頭痛様の頭痛が合併する場合もあります。また、しばしば、起立性調節障害と合併するようです。乗り物酔いをしやすい子が多く、片頭痛と共通する性質といえます。遺伝的な背景もあるものと思われます。治療としては、片頭痛の予防薬である、塩酸ロメリジン(ミグシス®)というお薬がよく使われます。