イグ・ノーベル賞

2026.09.05

 日本口腔・咽頭科学会に参加中、思わぬ朗報を耳にした。

元 旭川医科大学教授であった故・海野徳二先生が2026年のイグ・ノーベル賞を受賞したとのこと。なんと、びっくり! 題名は「はなの正しいかみ方」。先生によると “片側の鼻の穴をおさえ、ゆっくり強くかむ”のが正しいかみ方だそうだ。これを論文として発表しておられる。

 耳と鼻は耳管という管でつながっている。人によっては鼻を強くかみすぎると鼻から耳に空気が抜けて、中耳炎や耳の閉塞感につながることも危惧される。海外の教科書には、鼻の穴を押さえないでかむ方法なども記載されている。しかし、もちろん先生の業績にケチを付ける気は全くない。同じ耳鼻咽喉科医として非常に喜ばしい限りである。

 もう、かなり昔になるが、所沢にある国立障害者リハビリテーションセンターにおいて、3泊ほどして勉強する、補聴器の講習会に参加した。その際に、偶然ご一緒する機会に恵まれた。海野先生は、その時すでに旭川医科大学の教授をされていた。一般的には、昔の教授といえば、今とは比較にならないほど、厳しく、恐ろしく、ぺーぺーの私などは、お話するのもおこがましいという状態だったと思うのだ(今はそんな教授はすぐパワハラで訴えられます)が、先生は自分も補聴器を勉強しにきた立場だったためか、非常にフランクに優しく接してくださった。そんな先生が、イグ・ノーベル賞を受賞したのだ!今は天国に召されているが、きっと満面の笑みを浮かべて下界を見下ろしておられるに違いない。教授になっても、勉強しようという先生の姿勢に学び、私も、恥ずかしがらず、ときどきは学会に行き、若い先生方から最新の知識とエネルギーをもらっている今日この頃である。