2026日耳鼻2日目ー耳管機能不全

2026.06.15

 学会2日目からは、2つの演題を紹介します。2つのコラムに分けて書きますね。

まずは、「臨床講演 耳管機能不全―診断精度向上と治療選択」。演者は日本大学の大島教授です。

みなさん、“耳管”  ご存知ですか?鼓膜の奥を中耳(鼓室)とよびますが、その中耳は鼻の奥の部分と細い管でつながっています。その管が耳管です。この耳管は、中耳(鼓膜の内側)の圧をコントロールしています。この耳管の機能が悪くなると、耳がつまったり、自分の声が響くようになります。この耳管の内腔が広すぎるものを“耳管開放症”、狭すぎるものを“耳管狭窄症”とよびます。この2つをまとめて耳管機能不全と呼んでいます。この2つ、病態は真逆なのに、症状は非常に似ているので、診断が非常に難しいんです。どちらかというと、耳管開放症の人の方が多いので、まず、耳管開放症の可能性を考え、否定的な場合には耳管狭窄症の可能性を考える、という手順で診断します。このコラムでは、耳管開放症について書きます。

 耳管開放症の症状は、①自分の声が響く、②耳がこもる・つまる、③自分の呼吸音が聞こえる などです。飲み込むときに、「ブツブツ」あるいは「バキバキ」という音が聞こえる人もいます。どちらかというと、女性に多く、体重減少(ダイエット)、ピルの服用などが発症に関与します。

注意しなければならないのは、「鼻すすり癖」です。耳管が開いていると、耳の症状が不快なため、鼻すすりによって耳管が一時的に閉鎖することで症状が軽減するのです。しかし、これを繰り返していると、鼓膜が陥凹し、真珠腫性中耳炎滲出性中耳炎の原因になります。鼻すすりをすると、聴力自体は一時的に悪化するのですが、ご本人は丁度よい音量と感じるようです。このようなタイプの耳管開放症では、音が響く(聴覚過敏)症状を感じる方が多いそうです。

治療は、こまめに水分をとる、ダイエットを控える、ピルを中止するなどの生活指導の他、生理食塩水点鼻、内服薬服用、などがあります。治りにくい症例では、鼓膜チューブ留置術や耳管ピン手術なども適応になります。この耳管ピン手術ですが、保険適用となっているのですが、資格がないと施行できません。今のところ、長野県内では施行している施設はないと思います。ご希望の方は、日本大学に紹介しますね。