2025.11.24
2025年11月21、22日にお休みをいただいて、11月21日はみなとみらいにある横浜パシフィコ横浜ノースで行われた第53回日本頭痛学会に、11月22日はすぐ近くのパシフィコ横浜会議センターで行われた日本耳鼻咽喉科学会秋季大会に参加してきました。頭痛学会は11月21日、22日に、耳鼻咽喉科学会は22日、23日に開催されたのですが、会期が重なっており、さらに、23日は休日当番医のお役目があるため、どちらも1日のみの参加となりました。インフルエンザの蔓延しているこの時期に、休診にしてしまい、皆様には多大なるご迷惑をおかけいたしまいた。大変申し訳ありません。
今回は日本頭痛学会参加報告の1回目です。頭痛専門医としての知識のブラッシュアップのため参加してきました。
CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)、多くの人は耳なじみがないのではないでしょうか? CGRPというのは、主に三叉神経という知覚・感覚をつかさどる神経の終末から放出される神経ペプチドです。知覚神経のペプチドとしてはSP(サブスタンスP)が有名で、唐辛子の成分であるカプサイシンの作用で神経終末から放出されます。カプサイシンといえば、クマよけスプレーの主成分ですね! 私事になりますが、鼻水分泌に関与する神経伝達物質の働きを同定することが、私の学位のテーマでしたので、そのころから親しみのある物質です。因みに、鼻水の分泌にはSPは関与していますが、CGRPはほとんど関与していません。しかし、このCGRPが頭痛の世界では非常にホットなのです。数年前から、CGPRに結合し、その作用をブロックする抗体(抗CGRP抗体)注射薬や、CGRP受容体に結合して、CGRPの働きを抑える抗体(CGRP受容体抗体)注射薬が片頭痛の予防治療に使用できるようになりました。多くの人は、日々寝込むような、つらいつらい片頭痛からかなり開放されるようになっています(18歳以上の成人が適用対象です)。
さて、このCGRPですが、片頭痛のみならず、群発頭痛や、他の疾患に引き続いて起こるいわゆる2次性頭痛にも関与していることが明らかになってきているようです。今回のシンポジウムでは、頭部外傷後に発症する頭痛、薬剤(鎮痛薬)使用過多に伴う頭痛(MOHといいます)、三叉神経痛とCGRPとの関連について報告されていました。特に薬剤使用過多による頭痛(MOH)については、CGRPの関与も少なくないようです。MOHは、鎮痛薬を月に15日以上、そして3か月以上使用していると、頭痛が慢性化し、ほぼ連日頭痛が起こるようになり、非常に苦痛を伴う疾患です。鎮痛薬を離脱すれば改善することが多いのですが、鎮痛薬に頼っている人は、それほどたやすく離脱はできません。また、一旦離脱しても、再度鎮痛薬の依存に戻る人も少なくありません。あたかもヘビースモーカの禁煙のようなものです。片頭痛を合併しているMOHの人には、先ほど述べたCGPR関連抗体薬が有効な人もいるようで、鎮痛薬の使用に依存しなくてもよくなることもあるようです。今後の研究の進展が期待されます。