第74回日本アレルギー学会参加報告⑦ー食物アレルギーのミニシンポジウム

2025.11.13

第74回日本アレルギー学会報告の最終章(第7弾)です。

今回はミニシンポジウム36の5演題についてまとめてみます。今回の学会報告シリーズでも度々でてきた食物アレルギーのダイジェストにもなっています。

ミニシンポジウムというのは、通常の学会の一般演題と同じで、今回の学会では、自分の普段行っている研究成果を8分発表し、それに引き続く4分の質問時間で議論するという構成になっていました。

各演題の内容簡潔にまとめます。発表者名と所属は( )内に併記しました。

注(ここまでのコラムにも数回出現したアレルギーコンポーネントの語句説明:数回花粉や食物には、様々なタンパクが含まれていますが、実際にアレルギー症状を引き起こすタンパクを“アレルゲンコンポーネント”と呼びます)

 ①Pork-cat syndrome(独協医科大学 梶谷先生)
ネコを飼っていると、ネコのFel d 2というアレルゲンコンポーネントに感作され、その後、豚肉のSus s 1、牛肉のBol d 6にも感作され、獣肉アレルギーを発症するというアレルギーです。思春期以降に多く発症します。今回の演題では牛乳アレルギーにも関与していたとのことで、牛乳アレルギーの人の3.8-61% が牛肉のBos d 6に感作されているという報告でした。

 ②クルミアレルギー(杏林大学 増古先生)
今回の学会報告でも数回出てきました。
この報告ではJug r 1(保険収載されており、医療機関で測定できます)というクルミのアレルゲンコンポーネントの測定値を、アレルギー反応の3段階の程度(低い順に:Grade 1< Grade 2<アナフィラキシー)によって比較したという報告です。それによると、アナフィラキシーを発症した人は、他のグレードよりも有意にクルミ特異的IgEおよびJug r 1が高値で、Jug r 1の中央値が10.7 U/mLでアナフィラキシーが起こりやすいという趣旨の報告でした。

 ③魚コラーゲン(静岡済生会総合病院 高柳先生)
魚アレルギーの原因としては、パルブアルブミンゼラチンが関与していることを今回のコラムシリーズでも触れましております。今回の報告では、タラのパルブアルブミンおよびゼラチンの特異的IgE抗体を測定し、診断に役立てようという試みが行われていました。
 結論としては、魚コラーゲン感作の人では全身症状がおこりやすいこと、マグロ特異的IgE/サバ特異的IgE比がコラーゲン感作の指標となるということです。また、DHCのコラーゲンが皮膚テストで有用であることが報告されていました。勉強になりました。

 ④カシューナッツ(藤田医科大学 佐藤先生)
この口演は、少し専門的になるので、簡単に紹介します。カシューナッツアレルギーの診断には、血液検査でカシューナッツ特異的IgEとカシューナッツのアレルゲンコンポーネントであるAna o 3の測定が用いられています(保険収載されております)が、いずれも陰性なのに、カシューナッツの摂取でアレルギーが出る人もいます。その原因タンパクを同定しました、という話でした。

 ⑤アニサキス(兵庫医科大学 川村先生)
アニサキスは青魚やイカなどに認められる寄生虫です(他のコラムでも触れました)。魚アレルギーと誤診されている例もあるかと思います。例えば、アニサキスに感作されている人が、アニサキスが寄生しているサバを食べると通常摂取後3時間くらいにアレルギー症状が発現します。アニサキスのアレルゲンコンポーネントにはAni s 1, Ani s 3, Ani s 4, Ani s 6, Ani s 9, Ani s 12などがあります。熱に強い(耐熱性)のコンポーネントと、加熱するとアレルギー原性が低下するコンポ―ネントがあります。本口演では、Ani s 4陽性の症例では、アニサキス特異的IgE抗体価も高く、アナフィラキシーのリスクが高いことが報告されていました。アニサキスアレルギーのある人は、生の魚を食べること(刺身)は避けてください。養殖の魚およびマグロは比較的安全とのことです。