第74回日本アレルギー学会参加報告⑤ーアナフィラキシー

2025.11.13

第74回日本アレルギー学会の参加報告第5弾です。

今回はアナフィラキシーについての話です。

 この講演は国立相模原病院の海老澤先生が担当されました。海老澤先生は、日本アレルギー学会の理事長をお勤めになっている偉大な先生で、「アナフィラキシー診療ガイドライン」も先頭にたってまとめてくださっています。

 アナフィラキシーという言葉は聞いたことがあっても、実際にどのような症状か想像がつかない人も多いかもしれません。以前は、典型的には、蕁麻疹が出現して、ヒューヒュー・ゼイゼイ喘息様の症状を起こすとアナフィラキシーといわれていましたが、最近では皮膚症状を伴わなくても、循環器症状や呼吸器症状だけでもアナフィラキシーとよばれるようになっています。その罹患率は、小学生で0.6%、中学生で0.4%とされています。年間50-70人程度がアナフィラキシーショックによって亡くなっています。原因として最も多いのは実は食べ物ではなく、薬剤です。続いてハチ毒となります。

 薬剤では、造影剤、輸血、ワクチン、抗がん剤、抗生物質、鎮痛薬などがあります。

 食物では、何かと話題のクルミが増えてきており、1-2歳ではクルミが食物の中では2番目、3-17歳では1番多く、18歳以上では、小麦、エビ、ピーナッツ、大豆、クルミ、牛乳が多いそうです。

 また、世界中の海でアニサキスという寄生虫が増えているようです。アニサキスアレルギーがある人は、魚やイカを食する際にはご注意を!アニサキスアレルギーについては、他の学会報告でも触れていますので参照してください。

 アナフィラキシーの際に使用するのが、エピペンという筋肉注射のお薬です。アナフィラキシーを起こしたことがある方は、これを携帯し、例えばハチに刺された後にアナフィラキシーが出現したら即座に大腿部に注射する必要があります。自分で打つ場合もありますし、学校では先生などが打つ場合も想定されています。しかし、その使用に躊躇することもあるようで、投与時期を逃してしまう危惧もありました。

 朗報です! 新しいアナフィラキシーの治療尺として“ネフィー”という点鼻薬が承認されました。点鼻なら、注射よりも抵抗なく使えそうです。まだ、薬価が決まっていないのですぐには使えませんが、近い将来使えるようになるでしょう。しばらくお待ちください。