第74回日本アレルギー学会参加報告③ーマダニの話、他

2025.11.13

第74回日本アレルギー学会報告の3回目です。

 今回も前回の千貫先生の講演の続きです。

 みなさんの中には魚アレルギーの方もいるかと思います。魚アレルギーでは、魚の中のパルブアルブミン、あるいはゼラチンという物質によるアレルギーが多いことがわかっています。パルブアルブミンでは、アジ、カレイ、サケの特異的IgEが陽性になります。(後日、再度少しだけこの話題が出てくる予定です)

 皆さん、マダニアレルギーはご存知ですか?以前、山梨県で千貫先生にご講演いただいたときに、先生はマダニを集めて嘴から唾液を集めてその成分を研究したことをお話くさいました。へー、マダニを集めて唾液を採取し、そして成分を分析する!すごい執念だなあと感動したことを思い出しました。話がそれてしまいましたが、マダニに刺されると、牛肉、豚肉、カレイの卵のアレルギーになることが知られています。このアレルギーの特徴は、摂取してから10時間程度たってからの遅発型アレルギーとして発症すること、そして血液型のA型とO型の人に発症することを彼女が突きとめました。この原因はα-Galという物質で、この特異的IgE検査は保険適用になっていないため、牛肉特異的IgEで代用します。でも診断率は100%には程遠い状況で、α-Gal測定が一刻も早く保険収載されることが望まれます。一部の抗がん剤にこのα-Galが含まれており、そのアナフィラキシーが報告されているからですより、一層望まれます。

 その他、イネ科花粉に感作されると、小麦のアレルギー、特に小麦を摂取して運動するとアナフィラキシーを起こす(FDEIAといいます)ことが知られています。小麦、グルテン、ω5-グリアジン(アレルゲンコンポーネント)の特異的IgEを調べます。イネ科には、カモガヤ、ハルガヤ、オオアワガエリなどがありますが、ほとんどがアトピー性皮膚炎を合併しているそうです。

 その他にPork-cat syndromeというアレルギー、聞いたことありますか(この疾患も別のコラムで出てくる予定です)?猫を飼っているとFel d 2というアレルゲンコンポーネントに感作して、豚肉アレルギーになり、ハムやソーセージなどの加工品を食べると発症します。これも全員アトピー性皮膚炎をもっているそうです。すなわち、アトピー性皮膚炎によって皮膚があれていると、皮膚バリアが壊れ散るために、感作進んで、アレルギーが発症するのです。スキンケア大事ですね

 ところで、アトピー性皮膚炎といえば、最近の治療の進歩は著しいものがあります。2018年ごろから、分子標的製剤(バイオ)と呼ばれる注射薬が使われるようになり、現在では複数の注射製剤が選択可能となっています。また、最近ではJAKキナーゼ阻害薬という内服薬も出現しました。アトピー性皮膚炎の方は、かゆみがつらくて眠れないかたもいらっしゃいます。JAKキナーゼ阻害薬は、その有効性出現が早く、非常に有用な選択肢になりつつあります。もちろん、副作用に注意して使用しなければならないのですが。。。

 ということで、千貫先生の話は終わりです。