日耳鼻報告3―睡眠時無呼吸症候群-

2025.06.07

学会2日目にはじめに聴講したのは、「耳鼻咽喉科と睡眠診療のアップグレード」というシンポジウムです。ここの司会をしていたのも、先のコラムで触れた「ひらひらの会」のメンバーである原教授と、中田元教授のお二人です。それはともかく、睡眠障害は国が策定してる骨太の方針2024において、がん対策、循環器病対策、難聴対策などと並んで、最も力をいれている分野で、今後睡眠専門医も登場する予定になっています。

 さて、このシンポジウムでは4人の演者が講演されました。

まず太田総合病院の千葉先生は、「睡眠診療の展開と課題・耳鼻咽喉科医の役割」という演題で講演されました。今回のコラムではその内容をかいつまんで紹介します。

現在日本には2200万人の睡眠時無呼吸の方がいらいして、そのうちCPAP(睡眠時に呼吸の補助をする機器)の適応患者さんが900万人いるそうです。しかし、実際にCPAPを使用している方は80万人だそうで、適応患者さんの1割弱だそうです。 

睡眠時無呼吸の3割程度が上気道疾患に関連しています。この点で、耳鼻咽喉科医の役割は重要と言えます。以前は、レーザー治療などの選択肢もありましたが、現在ではその効果には否定的で、いびきにおいても、睡眠時無呼吸を合併している場合には、レーザー治療はしてはいけない治療の1つだそうです。鼻閉の改善は、劇的に睡眠時無呼吸を改善するわけではありませんが、CPAPの継続率や、いびきの改善には寄与するようです。

最近では、小児の睡眠時無呼吸も問題となっているようです。小児では、起床時の機嫌が悪い、昼間おちつきがない、すぐに切れる、“おねしょ”がなおらない、などの問題があるようです。もちろん、学校の成績にも影響します。体格の成長にも影響します。睡眠中のいびき、口呼吸の徴候があれば、一度は睡眠時無呼吸の検査をおすすめします。

もちろん当院でも簡易型モニターによる検査を施行しております。